2006/02/26

富のゆくえ

たまにはマジメな話を。

総人口:50万人

1人当たりGDP:$50,200ドル(2005年)
(ルクセンブルグに続いて世界第2位、日本は$30,400で22位)

GDP実質成長率:18%

GDPに占める工業の割合:96%



どこの国のことか想像つきますか?








答えは「赤道ギニア」(CIA World Factbook)。
は?  って感じではないでしょうか。僕もそうでした。国土面積は28,051平方km、本州と九州を足したくらいのアフリカの小国です。



赤道ギニアの別の指標を見てみます。


乳児死亡率1000人当たり85人

平均寿命49.7歳(世界で上から198番目)(CIA World Factbook

人間開発指数、121位(UNDP


本当に同じ国とはにわかには信じがたいですが、理由は1992年に発見された石油です。Exxon Mobilが開発に着手し(Wikipedia)、経済規模だけは飛躍的に発展しました。ここで注目すべきはGDPとGNIの格差です。2000年の世銀のデータですが、GNIがGDPの4分の1しかありません。つまり同国内で生み出された富のうち、赤道ギニア国民が得た分が4分の1以下しかないということ。残りは全て国外へ流出しているわけです。ちなみにExxon Mobilの2005年度純利益は4兆2270億円(日経)。

ただえさえ外国資本に大きくピン跳ねされている石油ビジネスですが、経営は政府の役人とその家族が独占しており、一般国民にはほとんど還元されていない模様。同国は政治腐敗のため、世銀、IMFの援助が停止されています。もっとも1993年以降、大きな石油収入のため援助基準を満たさなくなっているようですが。

国内の腐敗は置いておいて、一番言いたいのは途上国の経済を計るとき、GDPでは実態が見えにくいのではないかということ。赤道ギニアは極端な例ですが、一見GDPが伸びていて順調に経済が発展しているように見えても、そのうちどれだけが国民に還元されているのかが全く見えない。搾取の現状が隠されているわけです。

セネガルの例で言えば、同国民の9割は農民、なのにGDPの7割はサービス産業が占めている。実際行って思ったのは、外人が外人のためにやっている観光サービスが多いこと。ただ、セネガルの場合GDPとGNIにそこまで差異が無いので一概には言えませんが、注意して見ていくべきだと思います。


(経済は専門外なので間違いなどありましたら、ご指摘お願いいたします。)
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