2004/11/06

個人感情と政治

国際地域開発計画という授業で、現在C.H.ターナー、A.トロンペナールス著”七つの資本主義”を輪読しています。米、日、独、仏、英、瑞典、蘭の7カ国における資本主義文化を読み進めていくうちに、アメリカ人の学生がこんな疑問を放ちました。「この本は婉曲的に合衆国の文化を批判しているようだわ。アメリカは経済的にも軍事的にも世界で最も力を持った、最高の国のはずなのに。・・・違うのかしら?」

・・・へ?

思わずポカーンとしてしまいました。そういう風に考えていたとは。まあ、やはりというべきか。授業柄、留学生が半数を占める教室は一瞬おかしな空気に包まれましたが、当の本人は気づく様子も無く。

授業終了後、メキシコからの留学生と話しました。僕があの発言には驚かされたと言うと彼女は、次のように答えました。「私もちょっとビックリした。やはり外の世界のことを知らない人が多いんじゃないかしら。でもアメリカのことを悪くは言いたくない。なんにしろ私を暖かく迎え入れて勉強させてくれてる国だし。それに友達に面と向かって国の批判をして、敵を作りたくない。」

学生の個人同士のつながり、思いが発言や行動に影響を及ぼす。全くもって当たり前のことですが、もしかしたら”国際政治の場においても、こういうファクターがある程度重要な働きをしているのではないか”。ふとそんな事を考えました。
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